男女が出会って・つきあって・夫婦になるとはどういうことか
マリオン・コティヤールという魅惑のフランス人女優と
ブラッド・ピットの主演映画「マリアンヌ」である。
監督は「フォレスト・ガンプ/一期一会」で
米・アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、全米監督協会監督賞の
ファースト・シークエンスは、スパイ映画のように幕開けする。
全編に渡ってメロウな恋愛映画なのではないかと身構えると、
スリリングなオープニングで、その世界に引き込まれる。
このファーストシーンの緊張感は、作品全体の良さをすぐに教えてくれるだろう。
だから絶対映画感覚で言えば、見ておいて間違いない。
とにかくこれは恋愛映画ではあるが、とてもハードだ。
映画の世界にいる間、「男女の出会い」とは、どういうことかを考えさせる。
主人公の二人は仕事で出会う。これは私たちの日常よく起こること。
最初から恋愛関係では始まらない。(ネタバレ無しに書くと・・・)
まず、仕事、任務で出会い、
仕事や役目の関係上、パートナー、タッグを組む。
そのうち男女は何かしら心を惹かれ合う。
仕事や任務なので、それ以上は、止しておくか、踏みこえるか。
踏みこえると、恋愛関係で交際が始まり、やがて結婚・夫婦になり、
子供が誕生し、家族になる。
始まりは全くの他人同士。
男女が出会って、そのような特別な現象が起こる。
第二次大戦中のヨーロッパ、しかも英・仏・独という国をまたがって、
スパイ戦、駆け引き、騙し合いの中で展開する単なる恋愛感情を超えた
男と女の愛情をめぐるその真相は、凄まじく、
そんな相手を疑う心と、愛する感情の間で、
なぜか自分自身の身にもつまされるように感じることだろう。
生まれた場所や育った環境が違う、
そんな男と女が仕事の役目で出会って、
パートナーを組む・・・これは今、日本全国で起こっているが、
なかなか「つきあって・結婚して・家族になって」
そして、心からその家族を愛するという関係になるまでは
何かしら困難が立ちはだかる場合が多い。
こんな20世紀初頭の困難に比べれば、
いま我々の東京的・人間関係的な難しさなど
「大したことはない」と思うことだろう。
そして、関係を超えた男女の愛とは何かを深く思うことだろう。
原題は「ALLIED」。意味は「同盟になる」。
その方が意味深いが、邦題「マリアンヌ」の方が雰囲気は合っている。
2017年1月31日 東宝東和試写室 Preview
2月10日 全国ロードショー公開中(絶シネ度★★★★)